近年の化学療法の進歩、新規分子標的薬の出現によって、かつては不治の病と考えられていた造血器腫瘍の多くを治癒に導くことが可能になりました。
このような状況において、私たち医師には、科学的根拠(エビデンス)に基づいた治療法の選択が求められています。エビデンスを作り出すためには、実は多くの時間や人手をかけて臨床試験と呼ばれる研究を行うことが必要です。
医師自らが企画・立案する医師主導型臨床試験がようやく我が国でも行われるようになりましたが、日常の診療業務に追われながら医師が独力で臨床試験を進めていくことは必ずしも容易ではありません。我が国で医師主導型臨床試験がうまく進まない原因のひとつとして、臨床試験を円滑に行うための組織作りが成されて来なかったという点がしばしば指摘されます。そこで私たち茨城県内の血液内科医は、臨床研究の遂行に付随して発生する様々な問題を解決し、円滑に臨床試験を進めることを目的として、NPO法人「いばらき血液・腫瘍・緩和研究会」を立ち上げました。まだ設立されたばかりの研究組織で微力ではありますが、今後、血液内科領域に限らず、癌、緩和医療も含めた広い分野で、研究活動を活発に進めて行きたいと考えています。趣旨にご賛同いただける皆様のご参加、お力添えを頂きたくご挨拶申し上げる次第です。
平成21年7月吉日
特定非営利活動法人 いばらき血液・腫瘍・緩和研究会
設立代表者 小島 寛